絵のはなし

「25周年記念 るろうに剣心展」に心震えた!原画、逆刃刀、そして最も圧巻だったのは…

2021年11月5日

こんにちは、もとみんです。

先日ネットフリックスでニコラス・ケイジ主演の「ノウイング」という映画を見たのですが、これは太陽フレアが原因で人類滅亡する話でした。

「こんなことが起こったら怖いなあ」なんて思いながらふとyahoo!ニュースのトップをみたところ、科学カテゴリに「大規模な太陽フレア 影響収まる」という見出しを発見しマジにビビりました。なにこの偶然。神のお告げ?

それはさておき、今回は「るろうに剣心」について書こうと思います。

 

2021年は「るろうに剣心イヤー」だった

 

ところで、今年2021年は実写映画『るろうに剣心』の最終章として「The Final」と「The beginning」の2本が公開されましたよね。

わたしは両方とも劇場に観に行ったのですが、個人的には結構満足の作品でした。とくに「The beginning」は、剣心がポニーテールしていたので外見的にもカッコよかった(※個人の感想です)し、いつもと違う容赦ない剣さばきに震えました!

実写映画はこれで完結とのことなので、ある意味2021年は「るろ剣イヤー」だったんじゃないかな?という気がします。

 

新会期で開催された「るろうに剣心展」

 

で、今年はそれだけじゃなく「るろうに剣心展」も開催されたんですよね。この「るろうに剣心展」はもともと2020年に開催予定だったようなのですが、コロナ蔓延などの事情により延期となり、2021年に新会期で開催の運びとなりました。

すでに終了していますが、一応、概要をのせておきます。

 

【東京会場】

会期:2021年1月22日(金)~3月7日(日)

会場:東京ドームシティ Gallery AaMo(ギャラリー アーモ)

【京都会場】

会期:2021年4月23日(金)~6月6日(日)

会場:京都市京セラ美術館 新館 東山キューブ

【新潟会場】
会期:2021年 6月19日(土)〜 2021年8月29日(日)

会場:新潟市美術館

 

 

ちなみにこの「るろうに剣心展」は、アニメのほうではなく、あくまで原作メインでした。アニメや映画の紹介はあったのですが、どちらかというと「原画展」といったほうがしっくりくるかんじでしたね。

こういう展覧会って作品によってはアニメと原作と両方の展示がある場合もありますが、今回のるろ剣展に関してはまさに「往年のファンのため」みたいな雰囲気を醸し出していた気がします。

 

 

以前、小畑先生の展覧会にいきましたが、そのときはあくまで作品ではなく小畑先生にフォーカスしていたので原画展でした。るろ剣展もそれにちょっと近いかんじでしたね。

 

おもな展示は「原画」!なつかしのシーンも続々

▲入口付近にあったメインキャラ紹介

 

前述のとおり主な展示は原画ですが、連載開始当初の原稿などもあり、2021年の今からすると懐かしいシーンもたくさんあって心が震えました。

どんな漫画家さんも同じですが、連載当初と連載後半では絵が違っていたりしますよね。そんなところもちょっとした見どころだったと思います。

それから、展覧会ならではのオシャレなレイアウトの展示も素敵でした!

 

 

ちなみに、「るろうに剣心」の本編以外にも外伝や北海道編などの原稿も飾られていました。るろうに剣心北海道編はいま連載中なので、相関図なども書かれていましたね。これはけっこうわかりやすかった!

というのも、この展示を観に行ったとき、わたしはまだ北海道編は読んでいなかったんです。なので、その相関図を見て「へ~!宗次郎でてくるんだ!?」とか初歩的なところに感動したんですよね。

 

で、この「るろうに剣心展」を見終わったあと……

 

感動のままに北海道編を読みました!

 

北海道編は新しいキャラ3名が主人公核に抜擢されているなど新しい部分もあって、新感覚で読めましたね♪

ただ、ジャンプSQでの連載なので、以前より進みがゆっくりということもあって、コミックス派としては話の前後を忘れそうで怖い…(笑)

 

るろうに剣心―明治剣客浪漫譚・北海道編―

 

でもやっぱり、るろ剣の面白さは健在だなあと思いました。本編は幕末が絡みましたが、もう舞台が完璧に明治の北海道なので、わりと理解しづらい明治期の歴史の勉強や振り返りにも良いですね。

当時は「るろうに剣心」のキャラクターの関係性とか信念とかを楽しんでいましたが、いまは仕事の絡みもあって、史実とるろうに剣心を照らし合わせて楽しめている気がします。

 

▲一番好きな剣心VS宗次郎の戦闘シーン。生原稿が見られて幸せすぎる…

 

個人的に「るろうに剣心」のなかで好きなシーンは剣心VS宗次郎です。このシーンでの、完全にイっちゃってる宗次郎が最高なんですよね!!!!

まさかこのシーンを生で見られるとは思わなかったので、原画を至近距離でなめるようにして見てしまいましたw

 

 

あと、剣心VS志々雄のシーンで由美さんが犠牲になるシーンがありますが、当初このシーンのことをすっかり忘れていて、原画で見て「そういえばそうだった!」と思い出しました。

もうこのシーンとか、なんともいえない感情になりますよね…。改めて見てみると、るろうに剣心って、剣心という「正義」と、それに反する「悪」の両方に感情移入できてしまう。

絶対悪なら単純で簡単だけど、実際の歴史をベースにしたストーリーだからこそ、こういった複雑な感情や信念が描けるんだなあとしみじみ感じてしまいました。こういう部分、少年漫画だけど大人な漫画ですよね。

 

 

和月先生のこのコメントもなんかグッときましたね。

 

絵師必見!「アナログ」と「デジタル」の作画の見比べが面白い

展覧会のはなしに戻りますが、個人的にいちばん胸熱だったのは「アナログ原稿」と「デジタル原稿」の両方が見られたことです。

和月先生は途中からデジタル作画にかわっていますね。どのあたりが堺なのかはわかりませんが、北海道編はデジタル作画になっていました。

 

で、まさにここが熱く語りたいところなのですが……

 

和月先生ってアナログ作画でめちゃくちゃ線が綺麗だと思いませんか!?

 

デジタルだと直線があまりにも直線すぎるので、アナログのような「手書き感」が出せないですよね。

もちろん「アナログ風のペン」といったツールを使うことで多少は直線感を軽減できますが、だいたいの漫画は「アナログでかいたか、デジタルでかいたか」がなんとなくわかるくらい、画面の線や処理に違いがでるように思います。

で、アナログのすごいところは「直線じゃないゆらぎ」があることだと思うんです。「どことないフリーハンド感」というか、もう一度まったく同じ線を描いてといわれたら無理だろうなあという「唯一無二感」というか。

 

ところがですよ、わたしが思う和月先生の線の綺麗さって、

 

「アナログなのに洗練された直線感」

 

だったんですよ!!!

 

ジャンプ連載当時、わたしはその線の美しさにほんっっとうに惚れました! あまりに好きすぎて、よく線の書き方をまねたりしていましたね。

とくに影とか背景とかに使われている線の感じがほんとうに美しくて、画面全体をパッてみたときに「恐ろしいほどまとまってる感」があるんですよ。

バトル漫画だから血が飛び出たりするのに、もはやその汚れすら美しい…先生は天才か!?って思ってましたw

 

……と、つい力説してしまいましたが、和月先生の線の書き方についてはそのくらい本当に本当に心酔していたんですよね。なので正直、原画がたくさん見れたときの感動はひとしおでした♪

そんなわけで、わたしは和月先生のアナログの線がすごく好きだったわけなんだけど、これがデジタルに変わったらどうだったかというと……

 

デジタルでも美しさは健在!!!

 

デジタルはもともと直線が得意だし、直線的な美しさを出すのはアナログよりは簡単だと思うのですが、わたしが感動したのはそこではなかったんです。アナログのときと同等のクオリティを保っているのがすごかったんです。

ふつうアナログからデジタルに移行すると、「いかにもデジタル」っぽさが出たりしますよね。プロの漫画家さんでもけっこうそれがわかる場合が多いですが、和月先生はかなりナチュラルでした。

人物などの主線については「デジタルにかわったんだな」というのが多少わかりましたが、基本かなりアナログに近い気がしました。ほんとスゴイなあ~!

アナログにしてもデジタルにしても、画面全体が洗練されてまとまっているので、最終的に「うつくしい…」と思いました。

 

逆刃刀の展示や映画の衣装展示もアリ!

 

 

原画以外では、逆刃刀の展示もありました。日本刀の擬人化ゲーム「刀剣乱舞」のブームで日本刀の展示を観に行くことももはや普通になりましたが、逆刃刀はまた違った感動がありましたね。

漫画の世界から登場した刀を実際に作刀したというところにロマンが溢れています♪ 検心はこれをふるって戦ったのか……としみじみ。

 

 

 

それから、映画版るろうに剣心の衣装展示もすこしありました。漫画から実写映画化されている作品はいろいろあるものの、原作ファンから酷評されることも多いですよね。

その点、るろうに剣心は映画もかなりヒットしたし、ファンからも高評価を得ているのではないかと思います。そういう意味でもるろ剣はすごいですね。

 

もっとも興奮したのは「和月流の創作術」

原画だけでも大興奮だったわたしですが、それを超えるくらい興奮したのはなんといっても「ネーム」です。

実際に使われたネームや創作ノートなどが「創作術」として展示されていたのですが、これが本当に鳥肌モノでした!

完成原稿は雑誌やコミックスで見ているものと基本的には同等ですよね。だからすでになじみがあるわけですが、ネームって外には出ないものじゃないですか。だからこういう展覧会で展示してあると、「本当の裏側」が見れた気がして嬉しいんですよね♪

ちなみに和月先生の創作過程は、わたし的には「けっこう細かい!!」という印象でした。実際はこんなかんじで1話を作り上げているそうです。

 

 

具体的な創作工程

  1. プロットカード(話のポイントを書きだす。大まかな流れを決める)
  2. プロットノート(さらに細かなプロット。台詞を含めてシナリオをまとめる)
  3. 8分割ネーム(小さめサイズでコマ割や構図、キャラや台詞の配置を決める)
  4. ネーム(より具体的に、見開き単位で調整し、配置詳細を確定する)
  5. アタリ(ペン入れをイメージして下書き前のアウトラインを描く)
  6. 下描き(仕上がりサイズで最終うアウトラインの線画を描く)
  7. 番外編:落書きノート(技や造形、設定、扉絵構図など)

 

こ、工程が多い…!!!

 

こうして考えると漫画をかくって大変な作業なんだなあと改めて思いますね…。週間作家の場合それを毎週やって、毎週仕上げているわけだから、本当に大変ですね。体調不良になるのもわかる気がする…!

和月先生の場合、アタリ作業の時点でけっこう絵が綺麗な気がします。というか、その時点ですでにデッサンがキマってて、もう単純 に「すげー!」と思いました。

だってネーム時点だと表情やポーズさえわかれば基本はOKじゃないですか。でもわたしが思うよりはるかに「ささっと描いたけど綺麗になってる」感があって、溜息モノでした。。

もうほんと、個人的にはネームを見れたことが本当にうれしかったですね!

 

原画を見るとヤル気が出る

そんなわけで「るろうに剣心展」の感想を語ってきました。和月先生は「原画が見てみたい作家さん」の1人だったので、この25周年記念に念願かなってラッキーでした♪

個人的に、原画をみるとヤル気がチャージされます。この記事を書くにあたって写真を見返しましたが、やはりテンションがあがりましたね。

緊急事態宣言もあけたことですし、また気になる作家さんの原画展があれば足を運んでみたいなあなんて思います。

ではでは、また、、

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